先日10月3日に『ラカーニャ21周年そしてレイズブギから35周年パーティー』がありました。
私は訳あって35時間ほど労働したあとで駆けつけ手伝ったのですが、昔からの常連の方々、ミュージシャンがごった返しとてもいいパーティーになりました。
私は岡山から出てきていろいろとバイトをしてきましたが、3人のマスターがおります。全員マスターといまでも呼んでいて、たまにマスター同士が会うと、
『マスター、マスター。マスター、マスター』
と、『ジョン、ケン。ケン、ジョン』みたいな感じで紹介してしまうため、へんな感じになりますが、みな私にとってマスター以外どう呼んでいいかわからないくらい『マスター』です。
私はいつも飲み屋で働いているため、『自分で店をやればいいのに』などと挨拶のように言われることがよくありますが、お店をやるというのはとんでもなく大変なことです。
だって呑みにいけないよ。夜、家にいれないよ(笑)というのもなんですが、お店というのは開けていなければいけないでしょう?当たり前だけど、私はそこが一番好きなんです。
店が開いている。週休2日の店なんてほとんどない。せいぜい一日、年末ともなれば休まず営業。
ラカーニャがなければ下北にもあまり行かないかも?8039なかったら阿佐ヶ谷なんて何年もいかないかも?という風に、そこにお店があり、あり続けるということはおーきなことです。
ラカーニャ21周年、レイズブギからは35周年、スゴイ!そしてありがとう。
21歳くらいから一人で呑んで、呑んでるうちにバイトでカウンターに入ってる私はそれはそれで珍しいとは思いますが、そんな場所がある人はやっぱり幸せじゃないかとおもうんです。それが、35年ずっと同じ街にあるということは奇跡のようなことなんじゃないかと思うのです。
奇跡とは大げさにしても、なければ今はちがっているかもしれないと思うんです。
今月は、ラカーニャに縁の深い人達のライブが目白押しです。チェックしてぜひ足を運んでいただきたいと思います。
私のライブは
2015.10.18(日) 18:30 開場/19:00 開演
会場:下北沢 『La Cana』 東京都世田谷区北沢2-1-9 第二熊崎ビルB-1 Tel (03)3410-0505
料金:予約 2,800円 当日 3,300円 共に+1ドリンクオーダー
出演:松永希(vo)、今井忍 (g)、ロケット・マツ(pf)
で、タイトルにもありますが、今回のライブで歌う予定の曲『BONINの島』です。
この曲は石田長生さんの曲です。
石田さんと始めてあったのも阿佐ヶ谷の8039(パオサンキュー)というお店でした。店主が3人いて、そのうちのふたりが友達で、たまたま呑みにいっていた時に一緒になりました。おでこに名前を貼って(自分だけだれかわからないまま)その人がどんな人かお互いに言い合ってあてるというようなゲームを店にいる人全員でしました。
その後、何年後かは忘れましたが、ラカーニャのマスターが『いしやんが、私に会いたがってる』と聞き、私はこの日のことをよく憶えていたので、『会った事あるよ』と答えたのですが、また改めて石田さんは私の前にあらわれました。
石田さんが亡くなり、石田さんとの思い出を誰かと話したかったけど、私のような一時一緒に活動したものが、話すのも軽薄な気がして気後れしてしまっていましたが、ひとつだけ自分にできることがあるとおもったんです。
石田さんの音楽人生のなかで、あまりフューチャリングされる部分ではないかもしれませんが、石田さんはある時期『小笠原諸島』が大好きでした。このブログを読んでくださる方々は私がやっていたリングリンクスというバンドの『小笠原古謡集』はご存知でしょうが、普通はあまり知らないし、聞いてもわざわざ会いたいとまで思わないと思うのです。
でも石田さんは会いにきた。改めて会いにきてくれた。そして、一緒にライブをすることになった。石田さんはいろんな国の音楽に出会いその土地の人達といっぱいコミニュケーションをとってきたのだと思う。
私は小笠原の人ではないけれど、その歌に出会い魅了され必死で食らいついたことは確かである。
そんな共通項はあったかもしれない。けど、石田さんにしてみれば、わたしなぞまともに相手にすることもないような、情報だけきけばいいような相手である。
でも石田さんは先輩すぎてこしが引けてる私にも対等に語りかけ、『ビーデ兄妹』をやることにいたる。
石田さんはふざけて私を『師匠』と呼び、私もいつまでも腰が引けててはいけないと思いだんだんきやすくはなせるようになって、このユニットでのライブを楽しんだ。石田さんは小笠原をテーマにしたアルバムを作り、その中の曲『BONINの島』を小笠原返還40周年アルバムに再録する時私に歌わせてくれた。
石田さんのギターと私の歌だけで録音したその曲は島の人しか聞けないが、とてもいい録音だったと自分でも気に入っている。
石田さんは本当に楽しく、ジェントルマンだった。さわやかな人だった。相手が遠慮したり気分を損ねないように気をつかったり絶対にさせないと心に決めたような人だった。と私は思っている。
そんなところが大好きだった。
小笠原をテーマにしたアルバムの発売記念ライブに私をゲストでよんでくれた時、石田さんのバンドはベテランもベテランのメンバーの方々で、私は正直ビビっていた。素直にやればいいんだからなにもビビることはないのだろうけど、今まで全然接点のなかった方々で、家で松永さんに言うと、『ヤバいよのんちゃん(笑)』といわれる始末。
ぎこちなく始まったリハーサルで、イントロを特に決めず入ったとこからみたいな話になり、私は正直ホッとしていたら、石田さんが『師匠はバンド出身やから大丈夫やんな?』と言ってくれたとたんに空気が変わり、『なんや師匠バンド出身かいなー』となりとたんに場が和んで行き、ガチガチだった(隠そうとはしていたがバレバレ)私も少しニヤニヤすることができ、そのライブを楽しむことができました。
その時のことが今でも、こころに残っていて、意味もなく私はバンド出身だからなどとひとりで思いに耽ることがある。
私自身人生いろいろでなんの役に立つ訳でもないけれど、『BONINの島』は歌うことができると思うと少しだけ石田さんに喜んでもらえるような気がするのです。
『おまえらみんなオレの身体目当てやろー』と女性のお客さんに言って大爆笑をとっている石田さんのさわやかな魅力がだせたらなと思っています。
写真は、昨年の西岡恭蔵さんを偲ぶライブで久しぶりにお会いした時のものです。
つい話し過ぎてしまったきがしますが、正直な気持ちです。